眠くなければ寝なきゃいいじゃない。
子供は9時に寝るもの、そう学校で教えられていたから、真面目だった私は、いつもそれを守っていた。
何だか寝付けない日があった。寝付けないことに不安でドキドキもした。
寝室の横の部屋で、机に向かって何か作業をしていた母に、「眠れない」と訴えた。
母は私に目を向けることもなく、 「眠くなきゃ寝なきゃいいじゃない」と言った。
ずっと記憶の中で留まって、母親への負の感情を掻き立てる。
娘をダメにする魔の母親遺伝子
サンドラ・リシャース著
娘をダメにする魔の母親遺伝子 Oh, No! I've Become My Mother
- 作者: サンドラ・リシャース,大野晶子
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 2005/11/19
- メディア: 単行本
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本書の中でこんな一節がある。
「わたしはとても多感な子どもだった。母にアンデルセンの『赤い靴』を読んでもらったとき、その悲しいストーリーに思わず泣いてしまったことがある。ところがわたしほど多感ではなかった母は、そんなわたしを笑い飛ばし、こんなのたんなるお話でしょ、泣くのはやめなさい、と言い放った。あのとき母が、どうしたの、なにがそんなに悲しいの、と尋ねてくれていれば、どんなにすばらしかったろう、わたしはもっと違う人間に成長していたのでは、と思わずにはいられない。…」
著者は、祖母が仕事をしながら7人の子どもを育てたような人だから、子どもの気持ちを思いやるだけの時間もエネルギーも持ち合わせていなかっただろう。そんな祖母に育てられた母はその方法しか知らないのだ、と語る。
母親のしてくれたことには感謝しているが、もし母親を選ぶことができたら、気性にあった母親を選んだだろうとも。
私の気持ちを全て代弁してくれているようだった。ここまではっきりと言ってよかったのかと。
「眠れないなら眠くなるまでお話しようか?」
そう言ってほしかった。
「母親は神聖という原則を捨て去る」
母も所詮、ただの人だ。 完璧な人などいない。